イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「えーっと……」
杏奈も真織も、わたしが小林くんを好きだったことはもちろん知っていて。
2人には小林くんに告白したあとに、結果を報告しようと思っていたんだけど。
振られたショックが思ったよりも大きくて、今日まで言えずにいた。
ていうか、教室で一番目立っている失礼男……もとい、一堂先輩がこっちに話しかけてきたせいで、いつの間にかわたしはクラスの注目の的になっている。
さすがにこんなところで、友達に失恋話をする勇気なんてわたしにはない。
「杏奈、真織。その話は、またあとでゆっくり話すね……」
わたしは今、そう答えるだけで精一杯だった。
「つーか失恋ちゃん、髪切ったよね?」
「えっと……は、はい」
って、一堂先輩に聞かれて思わず答えてしまったけど。
失恋した後にわたしは美容院へ行き、小林くんを想って腰まで伸ばしていた髪を、胸のあたりまでカットしてもらった。
髪をバッサリと切ったわけじゃないのに、まさかあの一堂先輩が気づいてくれるなんて……。
「そっか。似合ってるじゃない」
「そっ、それよりも、さっきから気になっていたんですけど。わたしたちよりも年上の一堂先輩が、どうして1年の教室にいるんですか?」