イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「ちょっ、依茉!?」
そんなわたしを、慧くんが後ろからしっかりと抱きとめてくれる。
「おい、依茉。大丈夫か!?」
「う、うん。なんとか大丈夫だけど……多分わたし、慧くんのご両親に釣り合ってないって思われたよね」
向こうのテーブルで初老男性と談笑するご両親は、先ほどわたしと話していたときとは違い、とても柔らかな表情だ。
相手が仕事関係者と初対面の息子の彼女とでは、態度が違うのも当然なのだろうけど。
お金持ちの家の子でもない自分は、おそらく歓迎されていないだろうということだけは、さっきのご両親との短い会話のなかでも何となく伝わってきた。
「さっきはごめんな。親が失礼な態度をとって」
「ううん」
謝る慧くんに、わたしは首を横に振る。