イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「あー、そのことか。やっぱり気になるよね?」


 わたしの問いかけに、一堂先輩は苦笑いする。


「いや、実は……俺、去年は授業めっちゃサボってて。定期テストもまともに受けずにいたら、このとおり! 留年しちゃったんだよね」


 てへっと、舌を出す一堂先輩。


 留年って……。そういえば、一堂先輩がつけている制服のネクタイは、わたしたちと同じ1年生の赤色だ。


「だから俺も、今日からみんなと同じ1年5組の生徒ってワケ。俺だけ2回目の1年生だけど、先輩とか関係なくみんな仲良くしてくれよな」

「…………」

「はーい!」

「もちろんです!」


 パチッとウインクする一堂先輩に、杏奈だけでなく真織まで元気よく返事をしたけれど。

 わたしだけは、返事することができなかった。


 第一印象最悪の、あの失礼男が、1年間同じクラスだなんて……ありえない。


 病気がちで満足に学校に通えなくて留年したとかならまだしも、授業をサボってたって。そんなの不良じゃない。


 やっぱりこの人、派手な見た目通りの人だった。


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