イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
【慧side】
実家でのホームパーティーが終わり、寺内が運転するリムジンで依茉を家まで送ったあと、俺は再び実家へと戻ってきた。
『パーティーのあとで話がある』と、親に言われたからだ。
まあ、何の話かなんてだいたい見当はついているけれど。
俺は、実家のリビングのふかふかのソファに腰をおろす。
それにしても依茉、俺の両親と話してから明らかに元気がなくなってた。
そりゃあ、そうだよな。
親は依茉にキツく当たり、家のことや勉強がどうとかそういうことだけ聞かれて……良い気はしない。
ご飯もほとんど食べていなかったし、依茉のことが心配だな。
「慧さん、お待たせ」
俺が薄暗くなった窓の外を見つめていると、リビングへとやって来た母が、俺の向かいのソファに座った。
「……父さんは?」
「仕事があるからって、会社に戻ったわ」
日曜日の日暮れ時だというのに、社長ってのも大変なんだな。
「それで? 母さん、話というのは?」
「ああ、そうね。単刀直入に言うけど……慧さん、さっきの依茉さんっていう彼女とは別れなさい」