イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
やっぱり、そういうことか。
依茉と会っても会わなくても、結局は俺たちの交際を反対するんじゃないか。
「どうしてだよ」
「どうしてって、慧さんも分かってるでしょう? 依茉さんが、あなたにふさわしくないからよ」
ふさわしくないって、またそんな理由で……。
「慧さん。あなたは、一堂グループの跡取りなのよ。一堂家に見合う家柄の人とお付き合いをして、結婚して。将来もっと会社を大きくしてもらわないと」
何だよ、それ……。
「依茉さんの家は、一般の母子家庭でしょう? 地位も財力もないし、彼女自身が優秀ってわけでもないのに。そんな人と一緒にいたって、我が家の何のメリットにもならないじゃないの」
会社のため、家のためって……母さんの頭にはそれしかないのかよ。
母子家庭とか一般庶民とか、そんなのは関係ないだろ。
俺はふつふつと、怒りが込み上げてくる。
「あのさ。俺の好きな人のことを、『そんな人』とか言わないでくれよ」
「慧さん?」
「依茉のこと何も知らないくせに……っ! 俺は依茉が好きで、一緒にいるんだよ。依茉が隣にいてくれるだけで、どんなことも頑張ろうって気持ちになれるんだよ」
俺はつい感情任せに、テーブルを両手で思いきり叩いてしまった。
依茉の存在は、俺にとってはメリットでしかないんだよ……!