イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「何なのよ、その態度は。ねぇ、慧さん。曾お祖父さまから受け継いで、代々懸命に守ってきたこの会社を、まさか……あなたの代で潰す気?」
「そんなつもりはないけど……」
小さな頃からずっと、一堂の家と会社を継ぐように言われてきたから。
将来的にはもちろんそのつもりでいるし、俺なりに頑張って今よりもグループを大きくしたいとも思っている。
「あのね、恋愛と結婚は違うの。だから、彼女から離れられなくなる前に、さっさと別れなさい」
「……嫌です」
「慧さん、またそんなことを言って。もう子どもじゃないんだから。母さんを困らせないで」
俺は、ソファから立ち上がる。
「とにかく。俺は、絶対に依茉とは別れないから」
「ちょっと、慧さん……!」
母の呼びかけも無視し、俺はリビングのドアを勢いよく開けると、早足でそのまま玄関を出て行った。