イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「そういえば、慧くん。担任の先生に呼ばれてなかった?」

「やべっ。そうだ。俺、昼飯食ったら職員室に来いって担任に言われてたの忘れてたわ」


 お弁当を食べ終えたわたしが慧くんに尋ねると、彼は慌てたように席から立ち上がる。


「これからは、学校のこともちゃんとしようと思ってたところなのに。こんなんじゃダメだな、俺」


 慧くんが、自分の頭を手でコツンと軽く叩く。


「ごめん、依茉。俺、職員室行くから教室戻ってて」

「うん。分かった」

「またあとでな」


 慧くんがわたしに軽くハグすると、彼は早足に教室から出て行く。


 わたしも教室に戻ろうかな。


 お弁当箱を片づけると、わたしは空き教室を出た。


 自分の教室へと向かって、わたしが一人で人気のない廊下を歩いていると。


「……ねぇ。あなたが、西森さんだよね?」


 廊下の角から出てきた派手な見た目の女子が、突然わたしの目の前に立ちはだかった。


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