イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
先輩の後ろをついてやって来たのは、人気の全くない薄暗い非常階段だった。
ちょっ、ちょっと待って……!
モデルの先輩に連れてこられた非常階段には、彼女の他に2年生の女子があと2人いた。
これは……絶対やばいやつだと瞬時に察したわたしは、咄嗟にこの場から逃げようとしたけれど。
──ガシッ。
「ちょっと、話はまだこれからなんだけど?」
金髪ギャルの先輩に、手首を掴まれてしまった。
「なに逃げようとしてるのよ」
わたしは先輩たちに囲まれ、ギロリと鋭く睨みつけられる。
ひぃっ。こっ、怖い……。
右にも左にも、前にも先輩がいて。後ろは壁。
逃げたくても、もう完全に逃げ場はない。
「ねえ。うちらから逃げようとしたってことは、心当たりがあるんでしょう?」
「なっ、何のことでしょうか?」
「はあ? とぼけるんじゃないわよ!」
声を荒らげた金髪先輩に、肩がビクッと跳ねる。