イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「慧くんのこと、独り占めなんかして。何なの、あんた」
……やっぱり。わたしがここに連れてこられたのは、慧くんが理由だったんだ。
慧くんと付き合うようになってから、ただ廊下を歩いてるだけでやたらと女子に睨まれることが増えていたから。
いつかこういう日が来るかも……とは、何となく思っていたけれど。
「たいして可愛くもないのに。なんであなたが、一堂くんの彼女なの?」
「良家のお嬢様とかならまだしも。西森さんって、一般家庭の子なんでしょう?」
「あんたじゃ、慧くんに釣り合わないわ」
先輩たちの容赦ない言葉が、グサグサと胸に突き刺さる。
「少なくとも高校生になってからの一堂くんは、告白を断るなんてこと絶対になかったのに」
「そうよ。慧くんは、みんなのものだったのに。どうせあんたが、慧くんのことたぶらかしたんでしょう?」
違う……!
「わたし、たぶらかしてなんかいません。それに、慧くんは物じゃない!」
「何よ、うちらに言い返すなんて。1年のくせに生意気……!」
──ドン!
「きゃっ……!」
顔を真っ赤にさせた金髪先輩に勢いよく肩を押され、わたしは後ろの壁に叩きつけられる。