イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
自分では、もうどうすることもできなくて。
あまりの恐怖に、わたしがぎゅっと目を瞑ったそのときだった。
「キミたち……何やってんの?」
氷のように冷たく低い声がして、恐る恐るわたしが目を開けると。
今まで見たことがないくらい怒った顔をした慧くんが、わたしの頬に触れる寸前だった金髪先輩の腕を掴んでいた。
「いっ、一堂くん!?」
けっ、慧くん! いつの間に!?
「ったく。3人で1人に寄ってかかるなんて、キミたち最低だな。しかも、2年生が1年生に……」
はぁっと、呆れたように慧くんがため息をつく。
「ちっ、違うの。慧くん、これは……」
金髪先輩の声が先ほどまでの低いものとは打って変わって、猫なで声になる。
「何が違うんだよ? 仲良くしていたようにはとても見えなかったけど?」
鋭い目つきで慧くんに見られた金髪先輩が、ビクリと肩を揺らす。