イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「っう、っく……」
「俺が来たから、もう大丈夫だよ」
慧くんがとても優しい声で、わたしをあやすように背中をポンポンと叩いてくれる。
「でも、慧くん……どうしてここに?」
「職員室から教室に戻ったら、依茉がいなくて。東野さんに聞いたら、まだ戻ってきてないって言うから。もしかしたら何かあったのかなって、めっちゃ焦って探して……」
「そう、だったんだ。慧くんが来てくれて、良かった……」
わたしの目からは、再び大粒の涙がこぼれる。
「ごめんな。俺のせいで、依茉がこんな目に……」
「ううん。慧くんのせいじゃない。慧くんは、何も悪くない」
わたしは、力強く答える。
「助けに来てくれて、ありがとう……っ」
「そんなの、当たり前だろ? 依茉のためなら、どんなときでも俺がすぐに駆けつけるから」
慧くんの嬉しい言葉に、わたしはようやく笑みがこぼれた。
「それで依茉、大丈夫? どこか怪我とかしてない!?」
「あっ、うん。だいじょう……痛っ」
慧くんに心配をかけないようにと、笑顔で立ち上がろうとしたとき、右足首に痛みが走る。