イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「依茉、足痛むの?」
「だっ、大丈夫だよ。このくらい……」
言葉とは裏腹に右足首がズキズキと痛んで、スムーズに立ち上がることができない。
すると、慧くんがわたしに背中を向けてしゃがみこんだ。
「慧くん?」
どうしたんだろうと、わたしが首を傾けていると。
「依茉、乗って」
「え?」
「足痛むんだろ? 俺が依茉をおんぶして、保健室まで連れて行くから」
お、おんぶって……!
「いっ、いいよ! おんぶしてもらうなんて、恥ずかしい」
「それじゃあ、お姫様抱っこのほうが良い?」
「おっ……」
お姫様抱っこだなんて、想像しただけで顔から火が出そうになる。
「そっ、それは……もっと嫌だ」
「だったら、決まりだな。さあ、乗って」
慧くんがわたしを思って言ってくれているのだと思うと断ることもできず、わたしは彼の背中に身を預けることにした。
「俺にしっかりつかまっててよ?」
「わっ」
慧くんがわたしをおんぶして立ち上がると、わたしの目線が一気に高くなる。