イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
まさか、慧くんにおんぶしてもらうことになるなんて。
まるで、慧くんにバックハグしているみたいでドキドキする……!
「ねっ、ねぇ。重たくない?」
「ううん、全然。つーか、依茉めっちゃ軽いな」
おんぶされているとはいえ、自分から慧くんに後ろから抱きつくような形になるなんてことは初めてで。
心臓が爆発するんじゃないかってほどに、胸はドキドキと高鳴っているけれど。
慧くんの背中は大きくて、温かくて。
すごく、すごく安心できた。
──ガラガラ。
保健室のドアを開けて入室すると、薬品の匂いが鼻を掠める。
「すいませーん」
慧くんが声をかけるもそこには誰もおらず、シーンと静まり返っている。
「先生いないね」
「ああ」
慧くんは、保健室のベッドにわたしを座らせてくれる。