イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「あっ、冷却シート。とりあえず先に、これで冷やそう」
保健室の棚から慧くんが、冷却シートを見つけたらしい。
「依茉、足首に冷却シート貼るから。靴下脱がすよ?」
「えっ、靴下くらい自分で……」
「俺がやるから。依茉はじっとしてて」
わたしの前に屈んだ慧くんが靴下を脱がせてくれ、露わになった右足首は赤く腫れあがっている。
「こんなに腫れて、痛いよな……ごめんな」
そう言うと、慧くんは患部に冷却シートを貼ってくれた。
ひんやりとして、冷たい。
それから15分ほど患部を冷やしたあと、慧くんが足首に湿布を貼ってくれる。
「慧くん、ありがとう」
保健室の先生の代わりに手当してくれるなんて。慧くんの優しさが身にしみる。
「依茉、大丈夫?」
「うん。慧くんが手当してくれたお陰で、痛みも和らいできたよ。ほんとありがとう」
「ううん。ねぇ、依茉……」
「なぁに?」
慧くんが保健室のベッドのカーテンを閉めると、わたしの隣へと腰をおろす。
「あのさ。こんなときに悪いんだけど、少しだけこうしていても良い?」