イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
◇義母と対峙
2年生の先輩たちとの騒動から数日。
あれ以来慧くんは、わたしのボディガードなんじゃないかってくらい、わたしに付きっきりだ。
教室でわたしが杏奈と真織と話しているときも、移動教室のときも。
慧くんはわたしの隣にいるか、少し離れたところにいて常に目を光らせている感じ。
学校の行き帰りも、ここ数日は寺内さんが運転するリムジンで毎日送迎してもらってて。
有難いけど、毎日となるとなんだか申し訳ない気持ちのほうが大きい。
「ねぇ、慧くん。たまには、友達の有働くんたちと過ごしてくれても良いんだよ?」
音楽室から教室への帰り道。慧くんと一緒に廊下を歩きながら、わたしは彼に話す。
「いや、でも。また何かあったらダメだし。何より俺は、依茉のことが心配だからさ……あっ」
慧くんの顔が険しくなったので、そちらに目をやると。
廊下の向こうから、先日わたしを非常階段に連れていったモデルの先輩と、殴りかかろうとした金髪ギャルの先輩が並んで歩いてきた。