イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
金髪先輩たちの姿を学校で見かけるのは、あの日以来だけど。
先輩たちを目にするとあの日の恐怖が頭の中を過ぎり、わたしの足はその場に根付いたように動かなくなってしまう。
あれから他の女子たちに睨まれることも減ったし、特に何もされてはいないけれど。
「……っ」
先輩たちの顔を見ただけで、胸の鼓動がわずかに速まる。
「依茉……」
そんなわたしを見た慧くんがわたしの腰にそっと手を添え、先輩女子たちを無言で睨む。
「けっ、慧くん!? ごっ、ごめんなさい」
「もうあんなことはしませんからっ!」
慧くんの視線に気づき、サッと顔を青くさせた先輩たちが小走りで廊下を駆けていく。