イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「……っ」


 慧くんに好意を寄せる先輩たちに、別れるように言われて。今度は、慧くんのお母さんにまで別れてと言われて。


 身分違いの慧くんとの恋は、許されないの?


 誰にも応援してもらえないの?


 そう思うとすごく悲しいし、つい弱気になってしまいそうになるけれど。


 わたしは、一堂さんを真っ直ぐ見つめる。


「慧くんと別れるなんて、そんなの嫌です」


 わたしが答えると、刺すような視線が向けられる。


「嫌だって……あなたみたいな子が慧と付き合うなんて。どうせお金とか、玉の輿が目的なんでしょう?」

「違います! わたしは、純粋に慧くんのことが好きで……っ」


 すると、わたしの目の前に分厚い茶封筒が差し出される。


「……何ですか?」

「ここに、300万円が入ってるわ。これで、慧から身を引いてちょうだい」

「そんな……っ!」


 まさか、お金で事を解決しようだなんて。


 こんな昔のテレビドラマみたいなことが、実際にあるんだ。


 いくら慧くんのお母さんとはいえ、ひどい……。


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