イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……ねぇ、依茉さん。大越グループって知ってる?」
「大越グループって確か、あの有名なお菓子メーカーの?」
わたしは、弾かれたように顔を上げる。
「ええ。大越家は旧財閥のお家でね。そこのお嬢さんと慧に、お見合いの話があるのよ」
旧財閥……。そんな凄い家のお嬢さんと、お見合いの話が……。
やっぱり慧くんは、わたしと住む世界が違うのだと、改めて現実を突きつけられる。
「お相手はS女学院に通う高校2年生で、成績はいつも学年トップらしくてね。留学経験もあって、語学も堪能だし。もちろん、教養だって身についている」
淡々と話す一堂さん。
「将来的に大越グループと経営統合すれば、一堂グループはもっと大きくなるし、安泰よ。依茉さんは、彼女と同じことができる?」
「そっ、それは……」
わたしとは全然身分の違うお嬢様と比べられ、返す言葉も見つからない。
「依茉さんが本当に慧のことが好きで、慧のためを想うなら……どうすべきか分かるわよね?」