イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
いつも通りに話していたつもりだけど、やっぱり慧くんには分かっちゃうんだね。
「さっき、ちょっと包丁で指を切っちゃって」
『えっ、指大丈夫!?』
「うん、平気。ちゃんと水で洗って、薬塗って。絆創膏も貼ったから」
わたしは、たった今絆創膏を貼ったばかりの人差し指を見つめる。
「指を切っちゃうなんて。わたしってば、ほんとドジだよね」
慧くんに余計な心配をかけないよう、わたしは努めて明るく話す。
『ううん、そんなことない。俺は、どんな依茉も好きだよ?』
「慧くん……」
『可愛くて、優しくて。いつも一生懸命で。そんな依茉と一緒にいられるだけで、俺は幸せだよ。だから、これからもずっと俺の隣にいてくれよな?』
まるで、今のわたしの心を見透かしたような慧くんの言葉に、胸の奥から熱くなっていく。
「うん……ありがとう!」