イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 わたしは慧くんに、昨日の一堂さんとのことを正直に話した。


「母さん、まさか依茉にまで俺と別れるように言うなんて……! だから、昨日の電話で依茉が元気なかったのか。自分の親とはいえ、許せねえ」


 慧くんの顔が、怒りに満ち溢れる。


「だけど、わたし……慧くんとのことは諦めないよ。ご両親に認めてもらえるように、頑張るって決めたから……慧くんと一緒に」

「依茉……」


 慧くんが、わたしの手をぎゅっと握ってくる。


「そうだな。俺も、依茉のことだけは絶対に諦めないって決めてるから。これから、二人で一緒に頑張ろう」


 わたしは、慧くんとお互いの目を見ながら頷き合う。


「私は慧さまと依茉さんのこと、応援していますよ」


 赤信号で車が停車し、運転席の寺内さんがこちらを振り向きニッコリと笑いかけてくれる。


「寺内さん、ありがとうございます」


 中には、わたしたちのことを応援してくれる人がいて。


 大好きな慧くんとも一緒なら、この先どんなことがあってもきっと大丈夫だ。


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