イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
慧くんに、勉強を教えてもらうようになって数日。
この日の放課後、慧くんはアルバイトがあるということで、彼と学校で別れたわたしは一人である場所へと向かった。
目的地は、学校の最寄り駅から電車に乗って2駅先にあるところ。
「相変わらず、すごいな」
高級住宅街の中でも、ひときわ大きな門構えの豪邸を目にしたわたしはゴクリと唾を飲み込む。
わたしがやって来たのは、慧くんの実家だった。
ここに来るのは、慧くんに誘われて初めて参加したあのパーティー以来だ。
慧くんの母である一堂さんと車の中で話したとき『今後もう二度と、私の前に現れないでちょうだい』と言われてしまったけれど。
もう一度ちゃんと話したいと思ったわたしは、こうして実家までやって来た。
──ピンポーン。
プルプルと震える手でインターホンを押し、ドキドキしながらわたしは応答を待つ。