イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「……はい?」


 お手伝いさんだろうか。慧くんのお母さんとは違う女性の声がして、胸がドキッと跳ねる。


「突然お伺いしてすみません。わたし、慧くんと同じクラスの西森という者ですが。慧くんのお母様はおられますか?」

「ただ今奥様は、外出しておられます」

「そうですか……」


 常識的にもやっぱり、いきなりの訪問はまずかったかな。


 でも、こうしてせっかく来たからにはお会いしたい。


 迷惑じゃない範囲で、しばらく外で待たせてもらってもいいかな。


 30分だけ待って、それまでに一堂さんが帰って来られなかったら家に帰ろう。


 そう思ったわたしは家の端っこに立ち、スクールバッグの中から英語の単語帳を取り出し音読する。


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