イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「俺がトマトを克服したら、依茉の好きなトマト料理を俺のために作ってくれるっていう約束」
そういえば、慧くんと初めて中庭で一緒にランチをした日にそんな話をしたなぁ。
「もちろん作るよ。約束したトマトの甘酢漬けも、この前電話で話したオムライスも。他にもいろいろ!」
彼の目を真っ直ぐ見ながら言うと、慧くんは、わたしの頭を慈しむように撫でた。
「それじゃあ夏休みに、依茉の手料理をごちそうしてもらおうかな」
「うん、いいよ」
「そのためにも今、頑張らないとな。ちょっとでも、事が良い方向に進むように」
「そうだね」
6月中旬。外は、今日も相変わらずの雨模様。
気づけば、1学期の期末テストまであと2週間を切っていた。
お昼ご飯を食べ終えると、わたしは机の上に英語の問題集を広げる。
「そういえば、慧くん。あれから実家には顔を出してるの?」
わたしの質問に、慧くんの顔が曇る。