イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「あっ、ごめんなさい」
「ううん。僕のほうこそ、ごめん」
わたしが手を引っ込めて謝ると、ニコッと微笑んでくれた彼。
クラスメイトの三原楓吾くん。
サラサラの黒髪に、目力のある大きな二重の瞳。筋の通った高い鼻と、薄くて形の良い唇。彼は、顔面偏差値がかなり高い。
みんなでカラオケに来て最初に自己紹介をしたとき、彼のお父さんがリゾート会社の社長をしているって言ってたっけ。
言っていたのは本人ではなく、友達の山瀬くんだけど。
三原くんたち男子3人は、高校受験で花城学園に入学したらしいが、中学時代からの知り合いだそう。
「あっ。そのポテト、良かったら西森さんがどうぞ」
話す相手もおらず、わたしがずっとポテトばかりつまんでいたからか、お皿に山盛りだったはずのポテトはいつの間にかラストひとつになっていて。
それを三原くんが、わたしに譲ってくれた。
「どっ、どうもありがとう」
せっかく譲ってもらったので、わたしはポテトを頂くことに。
だけど……最後のポテトを手にして、わたしはふと思った。
もしかして三原くんに、よく食べる女だって思われていないかと。
そう思うと急に恥ずかしくなってきて、わたしはうつむく。