イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「どうしたの? 西森さん。ポテト食べないの?」

「たっ、食べるよ……うっ、ごほごほ」


 急いでポテトを口に入れ、よく噛まずに慌てて飲み込んだせいか、わたしはむせてしまった。


「西森さん大丈夫!? ごめんね、僕ちょっと背中触るよ? 嫌だったら言って」


 三原くんが、ブレザーの上からわたしの背中を優しくさすってくれる。


「ごほっ。ごめんね、三原くん……」

「ううん、全然」


 うう……今のわたし、何かめちゃくちゃかっこ悪い。


 涙目になりながら一気に残りのジュースを飲み、グラスはあっという間に空になる。


「あっ。ジュース、なくなっちゃった」

「僕、入れてこようか?」

「ありがとう。でも、ドリンクコーナーは上の階だから。三原くんに申し訳ないし」


 三原くんのグラスには、まだ半分以上飲み物が残っている。


「三原くんが、背中さすってくれたお陰で落ち着いたから。自分で入れてくるよ」


 わたしは、席から立ち上がる。


「あれ。西森ちゃん、もしかして飲み物入れにいくの? 俺の分も頼んでいーい?」

「おい、山瀬! それくらい、あとで自分で行けよ」


 三原くんが、山瀬くんを睨む。


「いいよいいよ。みんなの分も、ついでに入れてくるから。何が良い?」


 わたしは皆の注文を聞くと、カラオケルームを出た。


< 29 / 295 >

この作品をシェア

pagetop