イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 カラオケルームから少し廊下を歩いて階段をのぼり、上の階のドリンクバーのところまでやって来た。


「えっと。山瀬くんがジンジャーエールで、真織がオレンジジュース」


 わたしは、頼まれていた飲み物を順番にグラスに入れていく。


「あとは、杏奈がココアで尾上くんがコーヒーだったっけ。あっ、ココアとコーヒーってホットとアイスがあるのか。え、どっちがいいんだろう……」


 2人に聞くの忘れてた。どうしよう。


 わたしがドリンクバーの前でじっと考え込んでいると、背後から足音が聞こえてきた。


「あはは。でさー」


 廊下の向こうからは、学ランの男子2人が歩いてくるのが見える。


 まずい。早く入れてどけないと、ずっとここにいたら邪魔になるよね。

 よし。4月といっても今日はかなり暑いし、両方ともアイスでいいかな。


 グラスを機械にセットし、わたしがアイスコーヒーのボタンを押したとき。


「あれ、キミ……」


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