イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「なんで彼女だなんて、あんなウソ言ったんですか!? しかも、いきなりキスするなんてひどい」
わたしは、唇を手で何度も拭う。
好きでもない人に、初めてのキスを奪われた上に、小林くんに切り替えが早い女だって思われてしまった。
「わたし、さっきのがファーストキスだったのに……」
よりによって、苦手な人と……。
わたしの目には、薄らと涙が浮かぶ。
「ごめん、ごめん。依茉ちゃんが連絡先を聞かれて、困ってそうだったから。俺としては、人助けのつもりだったんだけど」
人助けって……。
「もしかして依茉ちゃん、あいつと連絡先交換したかった? だったら俺、責任もって今から聞いてくるけど」
「いえ。聞かなくていいです」
一堂先輩と、これ以上は話したくなくて。
わたしはドリンクバーで自分用のウーロン茶を入れると、トレイに5つグラスをのせて早足で歩き始める。