イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない

◇お兄ちゃんの友達



 空がオレンジ色に染まる頃。


 クラスメイトとの親睦も兼ねたカラオケが終わり、わたしは家に帰ってきた。


 色々あったし、途中から合コンみたいな感じになりつつもあったけど……久しぶりに歌って食べて楽しかったな。


「ただいまー」


 二階建ての一般的な一軒家のドアを開けると、玄関には見慣れない大きめのローファーがあり、わたしは首を傾げる。


 お客さんでも来てるのかな?


「あっ、依茉。おかえり」


 キッチンのほうからはカレーのいい匂いがしてきて、お母さんが顔を覗かせる。


「お母さん、今日これから夜勤なのに。夕飯作ってくれてるの?! ごめんね、あとはわたしがやるよ」


 母子家庭の我が家は、お母さんが総合病院で看護師の仕事をしていて。夜勤で、夜に家を空けることも多い。


 毎日仕事を頑張ってくれているお母さんを少しでも楽にしてあげたいと、中学の頃から基本的に家事や料理はわたしが担当している。


「今日は時間あったから、大丈夫よ。それより、今お兄ちゃんの友達が来てるから。これを部屋まで運んでくれない?」


 お母さんがわたしに、クッキーとオレンジジュースの載ったトレイを渡してくる。


「分かった」


 わたしはお母さんからトレイを受け取ると、2階のお兄ちゃんの部屋へと向かった。


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