イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「大事な話?」
「ああ。ちょっとそこに座ってくれる?」
お兄ちゃんの隣には一堂先輩が座り、テーブルを挟んで、彼らと向かい合うようにしてわたしは正座する。
目の前のお兄ちゃんの顔は、とても真剣だ。
大事な話って何だろう?
なんとなく、嫌な予感がするんだけど。
「今日慧を家に呼んだのは、他でもない依茉のためなんだ」
わたしのため……?
「依茉は、学校で慧と同じクラスになったんだよな?」
「うん、そうだけど。まさか年上の先輩がクラスメイトだなんて、こんなことは初めてで。正直驚いちゃった」
わたしの言葉に、一堂先輩が苦笑する。
「俺にとっては、慧が留年して依茉と同じクラスになってくれて、むしろ有難いよ」
有難いなんて、変なお兄ちゃん。わたしは一堂先輩がクラスメイトだなんて、嫌なんだけど。
「それで、今日慧を家に呼んだのは、お前に頼みたいことがあって」
「なに? 怜央」
「単刀直入に言う。お前に、妹に変な虫がつかないように、虫除けになって欲しい」
「虫除け?」
「ああ。要するに、慧には依茉の彼氏になってもらいたいんだ」