イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
男避けって、なんでそうなるの!?
「なっ。良い考えだろ?」と、お兄ちゃんは言うけど。意味が分からない。
いくらわたしのことが心配だからって、あの一堂先輩に彼氏になって欲しいだなんて。
我が兄ながら、きっと頭がおかしい。
「わたし、好きでもない人と付き合うなんて嫌だよ」
「ああ、それは大丈夫。彼氏と言っても、本当に付き合うワケじゃない。恋人のフリだけでいいんだ」
恋人のフリ……?
「表面上だけでも、依茉に恋人がいるとなれば、さすがに男も近寄ってこないだろ。とりあえず、依茉が高校生活に慣れるまでの1ヶ月だけで良いから。二人とも頼むよ」
お兄ちゃんが頭を下げる。
「怜央ってシスコンというか、何というか。本当に、依茉ちゃんのことが心配でたまらないんだな」
「ああ。そりゃあ、心配だよ……昔あんなことがあったんだから」
お兄ちゃんの顔が曇る。
「あんなことって?」
「慧に、話してもいいか? 依茉」
「あっ、うん」