イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……実は、依茉は小学5年生の頃に、クラスメイトの男子から告白されたことがあるんだけど。それを断ってから、執拗に付きまとわれるようになって。それでしばらく学校にも通えなくなって。嫌な思いをしたことがあったからな。兄としては、そんな思いをもう二度として欲しくなくて」
お兄ちゃん……。5年も前のことを、今もずっと気にしてくれていたんだ。
わたしは小学5年生の頃、カズキくんという男の子と仲が良くて。
『ボク、依茉ちゃんのことが好きなんだ』
ある日、カズキくんから告白されたけど。わたしは断った。
『ボクはこんなにも依茉ちゃんのことが好きなのに。なんで分かってくれないの!?』
告白を断ってからというもの、毎日学校の下駄箱にラブレターを入れられたり。学校帰りにカズキくんに付きまとわれたり。家の近くで待ち伏せされるようになった。
怖くて、怖くて。しばらくはお兄ちゃん以外の男の子には近づくことも出来ないくらい深く傷ついた。
それ以来不登校になってしまったわたしは、学校を転校して。カズキくんからも完全に離れることができて。
あの一件があってからは、いつもお兄ちゃんが、わたしのそばにいて守ってくれたから。
時間と共に、傷も少しずつ和らいでいって。
中学生になる頃には、小林くんに恋ができるようになるまで回復していた。