イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
 

 一堂くん、今日は朝から学校に来ていなかったから、てっきり休みだと思っていたら。


 いつの間に来ていたの!?


 まさかの人物の登場に、わたしは固まってしまう。


「ねぇ、それ。食べないなら、もらってもいい?」

「あっ、それは……」


 わたしが杏奈にあげようと箸に挟んでいた卵焼きに、一堂くんがパクッとかぶりついた。


「うん、めっちゃ美味い。これって、依茉の手作り?」

「えっと、うん。そうだけど……お弁当は、毎朝わたしが家族の分も作ってて」

「へぇー。毎朝自分で作ってるってえらいじゃん」


 一堂くんが、わたしの頭を優しく撫でる。


「あっ、あのぉ、一堂先輩。私たちに何か用ですか?」


 モグモグと口を動かす一堂くんに、杏奈がおずおずと話しかける。


「あっ、そうそう。悪いんだけど、依茉のこと借りてもいい?」

「えっ!?」

「彼女と一緒に、ランチしようと思って」


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