イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


『どうしたの?』

『えっと、あの、音楽室の場所が分からなくて……』

『それじゃあ、一緒に行こうか』


 小林くんが、迷子のわたしを音楽室まで案内してくれた。


『ここだよ』

『すいません。ありがとうございま……』


 キーンコーン……


 だけど、音楽室に到着したのと同時に、授業開始を告げるチャイムが鳴ってしまって。


 わたしは間に合うけど、クラスの違う小林くんは当然授業に遅刻しちゃうわけで。


『ごっ、ごめんなさい。わたしのせいで……』

『良いよ。困ってるときは、お互いさまだから。気にしないで』


 そう言って小林くんは、わたしの肩をポンッと優しく叩いてくれた。


『それじゃあね!』


 去り際に見せてくれた、小林くんの爽やかな笑顔が眩しくて。


 このときわたしは、一瞬で彼のことを好きになってしまったんだ。


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