イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「うそ。一堂先輩、今『依茉』って、呼び捨てで呼んだ!?」

「ていうか、かっ、彼女って……!」


 一堂くんの衝撃発言に、開いた口が塞がらない様子の真織と杏奈。


「ああ、実は俺、少し前から依茉と付き合い始めたんだよね」

「ええええ」


 まさかの一堂くんの言葉に、杏奈と真織だけでなく、教室中の女子の悲鳴があがる。


 う、嘘でしょ。一堂くんったら、みんなの前で何を言ってるの!?


 わたしは、持っていた箸を机に落としてしまう。


「ちょっと、一堂先輩って年下に興味ないんじゃなかったの!?」

「えーっ、いいなぁ西森さん」


 クラスの女子の視線を一身に浴び、身を縮こませるわたし。


「という訳だから。依茉のこと、借りてもいいかな?」

「はっ、はいっ!」

「もちろんです」


 一堂くんにもう一度尋ねられ、即答する杏奈と真織。


「ありがとう。それじゃあ、行こうか依茉」


 えっ、え!?


 一堂くんはまだ混乱するわたしの手を取り、もう一方の手でわたしのお弁当を持つ。


 そしてわたしは、彼に手を引かれながら教室を出た。


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