イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「依茉、まさか怜央との約束忘れてないよね?」
「わ、忘れてないです……」
いつの間にか、空いていたはずのスペースはなくなっていて。
わたしの真横に座る、一堂くん。
ちょっと。ちっ、近いよ、一堂くん……。
わたしはもうベンチの手すりギリギリまで来ちゃってるから、これ以上は動けない。
「依茉が覚えてるなら良かった。だったら怜央のためにも、学校ではちゃんと恋人として振る舞わなくちゃな。という訳で、これから1ヶ月間、毎日お昼は俺と一緒に食べるってことで」
「ええ!? まっ、毎日!?」
毎日だなんて、拷問だよぉ。
「でも、一堂くんには他にも彼女さんがいるから。毎日わたしと食べなくても……」
『慧くんを独占しないで』って、他の彼女に睨まれでもしたら嫌だし。
「複数いる彼女の中でも、そりゃあ普通は親友の妹を優先するでしょ? 俺、怜央との友情にヒビが入ったら嫌だし。約束した以上、依茉の男避けの役目はちゃんと果たさないと」
一堂くんが、そんなことを言うなんて。
前に『彼女を3人掛け持ちしたことはないから、面白そう』とか言ってたから。ちょっと意外だな。