イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「まあ、『キスもハグも禁止』っていう約束は、守れる自信ないけどね」


 ──チュッ。


「なっ……!」


 一堂くんの唇が、わたしの額に落ちた。


 こっ、この人は、またすぐキスをしてー!


 わたしは、たった今キスされた額を手で押さえる。


「一堂くん、ここ外なんだけど」

「前に言ったでしょ? キスもハグも、俺のしたいときにするって」

「そっ、そうだけど……」


 男の人って、好きでもない人にこんなに何度もキスできるものなの?

 それとも、一堂くんがただのキス魔なだけ!?


「さあ、ご飯食べよっか。あー、腹減った」


 一堂くんは、紙袋からメロンパンとサンドウィッチを取り出す。


 あっ、あのメロンパンは、普通の高校生にはなかなか手が出せない1個800円する高級メロンパン……!


 きちんと手を合わせて「いただきます」とつぶやくと、彼はメロンパンにかぶりついた。


「美味い! やっぱ腹が減ってるときの飯は、最高だな」


 そりゃあ、美味しいだろうなぁ。彼を横目で見ながら、わたしはゴクリと唾を飲み込む。


 一堂くんが食べ始めたので、わたしも自分のお弁当を広げる。


 今日のお弁当は、鮭のふりかけがかかったご飯に、卵焼きとたこさんウィンナー。それに、ほうれん草の胡麻和えとミニトマトだ。


「いただきます」


 わたしは、ご飯をパクッと口に含む。


 うん。一堂くんが言ってたとおり、お腹が空いてるときのご飯は最高だな。


 こんな日差しが暖かな、お天気の良い日に外でお弁当を食べて。ちょっとしたピクニック気分だ。


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