イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「ふふふっ」
「そ、そんなに笑うことないだろ?」
珍しく頬を赤らめている一堂くんが、何だか新鮮で。ちょっと可愛くて。思わず笑ってしまった。
「ねぇ、一堂くん。トマトってね、低カロリーで、ビタミンCとか色々な栄養成分が豊富な健康野菜なんだよ」
「そうなの?」
「うん。リコピンも豊富で、生活習慣病の予防にもなるし。体にすごく良いんだよ。だから、絶対に食べたほうが良い。食べないなんて勿体ないよ」
「……」
「わたしはトマトが大好きだから。毎日必ず食べてて。特にこれからの季節は、トマトの甘酢漬けが最高で……」
一堂くんの返事が全く聞こえなくなって、わたしはハッとする。
し、しまった。わたしったら、何をトマトについて語っているんだろう。
一堂くん、黙り込んじゃってるよ。
好きな食べ物の話をしていたら、つい周りが見えなくなってしまってた。
「ご、ごっ、ごめんなさい。苦手なものはどうしたって苦手なのに、わたしったら食べたほうがいいとか無神経なことを言ってしまって」
「……」
一堂くん、さっきから俯いたまま何も言わない。
もしかして、怒った?