イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「依茉、まじでありえないんだけど……」
一堂くんのいつもよりも低い声に、わたしはビクビクしながら一堂くんのほうを見る。
「……ぷっ。トマトについて、そんなにも語るなんて。依茉、本当に女子高生かよ? キミみたいな子は、初めてだわ。ふはっ」
「……え」
おっ、怒ってないの?
一堂くんがお腹に手を当てて爆笑しているのを見て、わたしは拍子抜けする。
「やばい。そんなに力説されたら、久しぶりに食べてみたくなったわ。トマト」
すると一堂くんは、残してあったトマトを指でつまむと、何度か躊躇した後に口の中へと入れた。
うそ……!