イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「ね。ちゃんと残さずにトマト食べたからさ。俺のこと、褒めてよ」
一堂くんが『撫でて』とでも言うように、ハチミツ色の髪をわたしのほうへと寄せてくる。
「褒めてって……子どもですか?」
「俺、16歳だから。まだ立派な子どもでーす」
「何それ。こんなときだけ子どもぶるなんて」
「間違ってないし。いいでしょ?」
わたしに甘えるような眼差しを向けてくる、一堂くん。
「もう、しょうがないなぁ……」
そんな目で見られたら、断るなんてできなくて。
わたしは仕方なく、彼の頭をポンポンと撫でてあげた。
「一堂くん、エライエライ」
「依茉ちゃん、めっちゃ棒読み」
「文句言うなら、止めますが」
「えっ、そんなこと言うなって。もう少しだけ」
ため息をつくと、わたしは再び一堂くんの頭を優しく無でる。
彼の髪はふわふわしてて、まるで犬のトイプードルでも撫でているみたい。
「いやー。依茉ちゃんに頭撫でてもらえるなら、トマト食べて良かったな」
そう言う一堂くんは、ご満悦。
「俺、これからトマトを克服できるように頑張るからさ。もし苦手を克服できたときには、俺に何かご褒美をくれる?」
「え? ご褒美?! 何がいいの?」