イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……なーんてな」
わたしが軽く睨んだからか、冗談だと言って笑う一堂くん。
「これを落とした人、今頃きっと探してるよね」
ハンカチには『R』って、アルファベットの文字も入ってるし。
中庭の時計を見ると、昼休みは残り15分を切っている。
「あの。一堂くんは、先に教室戻ってて」
「え? 依茉、どこか行くの?」
「うん、ちょっと。わたし、このハンカチを落とした人がいないか、教室を1クラスずつ聞いてまわってみるよ」
「は!? 1クラスずつ聞いてまわるって、何言ってるんだよ」
「だって、落とし主が困ってるかもしれないし。もしかしたらこれ、すごく大事なものかもしれないから」
わたしが駆け出そうとしたとき、一堂くんに腕を掴まれた。