イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 * * *


 昼休みのあとの5限目は、ロングホームルームの時間。


 今日は、2週間後に控えた遠足のことを色々と決めるらしい。


「えー、まずは遠足の実行委員だけど、誰か立候補はいるか?」


 黒板の前で担任の先生が声をかけるが、教室はシーンと静まり返る。


 遠足の実行委員って多分、しおりの作成とか遠足の準備をしなきゃいけないんだよね。ちょっと、大変そうだなぁ……。


「高校生になって初めてのイベントだぞー。誰か、意欲のある者はいないかー?」


 先生が更に声をかけるが、クラスのみんなはやりたくないからか、またもや無反応。


「仕方ない。誰もやってくれる人がいないようなら、最後の手段。くじ引きで決めよう」


 え、くじ引き!?


「えーっ」

「くじ引きなんて嫌だ〜」


 教室はブーイングの嵐。


「そんなこと言われてもなぁ」


 先生、すごく困ってる。


 誰もやらないなら、ここはわたしが……。


 そう思い、手をあげようとしたとき。


「……あの、先生。僕、やりますよ」


 わたしよりも先に、名乗りをあげた人が一人。


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