イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 放課後。


「依茉ちゃーん。一緒に帰ろう」


 スクールバッグを肩にかけた杏奈が、わたしの席へとやって来た。


「あっ、ごめん。杏奈、わたし……」

「西森さんはこのあと、遠足の実行委員の集まりがあるんだよね」

「み、三原くん!?」


 わたしの席に、いつの間にか三原くんが来ていた。


「三原くん、どうしたの?」

「あのさ。西森さん、委員会の教室まで一緒に行かない?」

「あっ、うん。いいよ。というわけだから、杏奈。ごめんね」

「ううん。依茉ちゃん、委員会頑張って!」


 杏奈と別れ、わたしが三原くんに続いて教室を出ようとしたとき。


「わっ!」


 わたしは後ろから誰かに、ブレザーの裾を思いきり引っぱられた。


「えっ、誰……って、一堂くん!?」


 後ろに立っていたのは一堂くんで、彼は何も言わずに、わたしのことを後ろからいきなり抱きしめてくる。


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