イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……どうした? 依茉。さっきから箸止まってる」
「え!?」
やばい。今朝の、杏奈たちとの会話を思い出していたから。
「ねぇ。それ、ずっと食べないままなら俺がもらっても良い?」
一堂くんが、わたしのお弁当からオムレツをつまんで横取りする。
「ああっ。わたしのオムレツ! 今日は特別にチーズを入れたのにぃ」
「ははっ。依茉がさっさと食べないのが悪いんだろ?」
オムレツを口に入れた一堂くんが、ニヤリと笑う。
「もう!」
わたしは、頬をぷくっと膨らませる。
「オムレツひとつで怒るなって。せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?」