イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……そんなの、出なくて良いんじゃない? 無視しろよ」
「何言ってるの? ダメだよ。もしかしたら、委員会の連絡かもしれないし」
「ちぇー。せっかくの依茉とのランチタイムなのに。あいつに邪魔されるなんて……」
ブツブツと文句を言う一堂くんを無視し、わたしは電話に出る。
「もしもし?」
『あっ、西森さん!? 急なんだけど、今日これから遠足の実行委員の集まりがあるらしくて。今から来られる?』
「わかった。すぐ行くね」
わたしは食べかけのお弁当を、急いでしまう。
「依茉、どうした?」
「これから、遠足の実行委員会があるらしくて」
「これはまた、ずいぶんと急だな。俺が代わりに行こうか? 依茉、お弁当あまり食べれてないだろ?」
確かにお弁当は、まだ少ししか食べてなかったけど。
「ううん、大丈夫。これは、わたしの仕事だから。ちゃんとやらなくちゃ。一堂くん、ありがとう」
「行ってらっしゃい。頑張って」
こちらに手を振ってくれる一堂くんにわたしも手を振り返すと、急いで校舎のほうへと向かった。