イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 委員会は予鈴が鳴るまで続き、結局わたしは残りのお弁当は食べられなかった。


「ああ、お腹空いた……」


 昼休み、お弁当のおかずをひとつとご飯二口くらいしか食べてなかったら、さすがに空腹になるよね。


 5限目の授業後の休み時間、わたしが机に突っ伏していると。

 すぐそばから、ふわっとシトラスの香りがした。


 この爽やかな香りは……。


「依茉、もしかしてお腹空いたの?」


 わたしが顔を上げると、思ったとおりそこには一堂くんが立っていて。


 わたしは、彼にこくりと頷く。


「やっぱり。依茉、昼飯食べれてなかったもんな。授業中もめっちゃお腹鳴ってたし。俺の席のほうまで、聞こえてたわ」


 え、ほんとに!? わたしと一堂くんの席は、けっこう離れているのに。


 そこまで聞こえてしまうくらい、そんな大きな音が鳴っていただなんて……!


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