イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「これあげるって。どうせまた何か変なものなんじゃ……んぐっ」
プンプン怒っているわたしの口に、一堂くんが何かを入れた。
少し強引に口にモノを入れられたわたしは、それを食べるしかなくて。
何だろう、これは。なんか甘いなぁ。
「どう? 美味しい?」
「うん、美味しい……」
噛めば噛むほど、口の中いっぱいに程よい甘さが広がっていく。
わたしが好きな、あの味が……。
「一堂くん、これって……」
「ああ。ほら」
わたしに、一堂くんが小さな箱を見せてくる。
「……トマトキャラメル?」
一堂くんが見せてくれた箱には、『トマトキャラメル』という文字と赤いトマトの絵が。
食べてる途中から、わずかにトマトっぽい味がするなと思っていたら。まさか、トマトのキャラメルだったなんて。
「スマホ見てたら、これを見つけてさ。珍しくない?」
「へぇー。こんなのがあるんだね。美味しいよ。もう一個もらってもいい?」
トマト好きのわたしとしては、何個でも食べたいって思うくらい美味しい。
「気に入ってくれたようなら良かった。それじゃあ、もう一個と言わずに全部あげる」
そう言って、わたしに箱ごとキャラメルを渡してくれる一堂くん。