イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「えっ。でもこれ、一堂くんが食べようと思って買ったんじゃ……?」
「まさか。トマトが苦手な俺が、トマト関連の食べ物を買うわけないじゃない。これは、依茉のために買ったんだよ」
わたしに……?
「ネットでそれ見てるとき、依茉の顔が自然と頭に浮かんでさ。トマトと言えば、やっぱり依茉だから」
ふいっとそっぽを向き、ハチミツ色の髪をくしゃくしゃと掻く一堂くん。
トマトが苦手なのに。わざわざわたしのために買ってくれたの?
一堂くんの頭の中に、ちゃんとわたしが存在しているんだなって思うと、胸がポカポカと温かくなった。
「嬉しい。ありがとう!」
「おう。これくらい、またいくらでも買ってあげるよ」
二個目のキャラメルを口に含むと、先ほどよりもわずかに甘さが増した気がした。