α様は毒甘な恋がしたい
「いい判断だ」と、満足げに頷く戒璃くん。
ピリついた刺々しい空気を入れ替えるように、両手をパチン。
「は~い、生徒同士の朝の親睦会はここまで!」
さっきまでの怒り顔はどこへやら。
急に大人気バンドのボーカルらしい、さわやか笑顔を振りまき始めた。
サラサラな髪も、小鳥と戯れる王子様のように弾んでいる。
なっ、なぜに?
戒璃くんの声が、スキップランランの楽し気ボイスに変わったけど……
あっ、戒璃くんがエレベーターの中に入って行っちゃった。
床に倒れている雷斗さんと風弥さんの前で、しゃがみこんじゃった。
アイドル顔負けの、キラキラ笑顔を輝かせながら。
「朝から大人気アイドル君たちと話せて、光栄だったよ」
「戒璃、気持ち悪い笑顔向けんな! なんだその不気味なまでのキャラ変は!」
「俺を睨まないで。本当に嬉しいんだよ」
「嬉しいって何がだよ!」