α様は毒甘な恋がしたい


 「あっ、もうこんな時間だね」

 
 腕時計をチラ見して立ち上がった戒璃くん。


 「遅刻したら大変。双子アイドルくんたちは先に校舎にどうぞ」


 1階&閉まるボタンを押し


 「キミたちが乗っているエレベーターを、1階まですすめてあげるから」


 床から起き上がれない双子たちに極甘ウインクを飛ばすと、エレベーターの外に出てきた。



 「オイ、コラ!」

 「待ってください!」


 雷斗さんと風弥さんの叫びを閉じ込めるように、しまっていくエレベーターのドア。



 けが人を放ってはおけない!

 二人を早く保健室に連れて行かなきゃ!


 閉まりかけのドアに無理やり腕を挟み込もうと、私はコンクリートを強く蹴ったのに


 「行くよ」


 冷たい声を吐き出した戒璃くんが、私の手首をギュッ。

 まるで自由を奪う手錠のよう。

 きつくきつく私の手首を握りしめてきた。
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