α様は毒甘な恋がしたい


 「入って」


 ひゃっ?!

 生徒会室に、戒璃くんと二人だけ?



 戒璃くんは私との過去なんて、一切覚えていないんでしょ?


 それとも……もしかして……


 ――本当は俺、ずっと美心に会いたかったんだ!


 なんて、童話のお姫様展開が待っているんじゃ……



 「早くして。新入生には、生徒会として書いてもらわなきゃいけない書類があるから」


 ……うっ。

 そんな夢みたいな展開が、起こるわけがなかった。

 めんどくさそうな顔で、重い溜息までつかれちゃった。



 ほんとバカだよね、私。

 絶対にないとわかっているのに、ちょっとだけ期待しちゃった。


 誰もいない生徒会室に、戒璃くんが私を連れ込む理由。

 それが

 私と二人きりになりたいからならいいのにな……なんて。

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